選びやすいメニューはどう作る?カフェのメニュー設計を心理学から考える
カフェや喫茶店のメニューを考える時、
「せっかくなら選択肢をたくさん用意した方が、お客様には喜んでもらえるのでは?」
と考えることがあります。
品数が増えれば、その分いろいろなニーズに応えられるようにも見えます。
一方で、選択肢が増えすぎると、
「どれを選べばいいか分からない」
「違いがよく分からない」
「とりあえずいつものものにしておこう」
ということも起こります。
今回は、心理学やマーケティングの研究を参考にしながら、カフェのメニューを「品数」ではなく「選びやすさ」から考えてみます。
1.選択肢は、多ければ多いほど良い?
選択肢の多さについて有名なのが、シーナ・アイエンガー教授らが2000年に発表した「ジャムの実験」です。
高級食料品店で、24種類のジャムを並べた場合と6種類を並べた場合を比較したところ、24種類の方が立ち寄る人は多かった一方で、実際に購入した割合は6種類の方が高いという結果になりました。
この研究から、
「選択肢が多すぎると、かえって選びにくくなることがある」
という考え方が広く知られるようになりました。
ただし、この研究だけで「選択肢は少ないほど良い」と結論づけられるわけではありません。
2.大切なのは「少なさ」より「選びやすさ」
その後の研究では、選択肢の数そのものだけでなく、
比較が複雑か
違いが分かりにくいか
自分の好みがはっきりしているか
短時間で決めたい状況か
といった条件によって、選びにくさが変わると考えられています。
つまり、大切なのは「何品までなら正解か」ではなく、
「お客様が違いを理解し、比較しやすい状態になっているか」
ということです。
3.カフェのメニューで起こりやすいこと
例えば、ケーキが10種類以上並んでいても、
「チーズケーキが何種類もあるけれど違いが分からない」
「商品名だけでは味が想像できない」
という状態では、選択肢の多さが魅力になりにくいことがあります。
逆に、
「濃厚なチョコレートが好きな方へ」
「コーヒーに合わせるならこちら」
「さっぱりした味わい」
「季節限定」
など、選ぶ基準が添えられていれば、比較しやすくなります。
メニュー設計で考えたいのは、単純に商品を減らすことではなく、
「お客様が自分に合う商品を見つけやすくすること」
です。
4.選びやすくするための3つの方法
①カテゴリーを分ける
ドリンクなら、
「コーヒー」
「紅茶」
という通常の分け方に加えて、アイスとホットをマークするなども1つです。
ケーキなら、
「クリーム系」
「フルーツ系」
など、お客様の好みが分かれやすいポイントで分類すると、選びやすくなります。
種類が多い場合は、「チーズ系」「チョコレート系」など素材で分ける方法もあります。
このような感じで、一度に比較する範囲を小さくすると、選びやすくなります。
②選ぶ基準を添える
商品名と価格だけでなく、
「当店人気」
「甘さ控えめ」
「深煎りが好きな方へ」
「午後のコーヒーにおすすめ」
など、判断材料を加えます。
これは商品を押しつけるというより、お客様が選ぶためのヒントを渡す考え方です。
③おすすめを絞る
商品数を減らせない場合でも、
「迷ったらこちら」
「初めての方におすすめ」
「今月のおすすめ3品」
など、見るべき場所を分かりやすくする方法があります。
選択肢そのものを減らさなくても、比較の負担を軽くすることはできます。
5.ケーキメニューならどう考える?
例えばケーキの場合、
「定番のチーズケーキ」
「濃厚なチョコレート系」
「さっぱりしたフルーツ系」
「季節限定商品」
など、味や役割の違う商品を組み合わせる方法があります。
もちろん、客層や販売数、ショーケースの大きさによって適切な品数は変わります。
ただ、
「本当にお客様が違いを理解できる品揃えになっているか」
という視点で見直すことはできます。
業務用ケーキを使う場合でも、
「定番数品+季節商品を入れ替える」
という運用にすれば、品揃えに変化を出しながら、選択肢を整理することもできます。
6.多品種そのものが魅力になる店もある
もちろん、品揃えの多さ自体が価値になる店もあります。
コーヒー豆や紅茶を数多く扱う専門店では、
「たくさんの中から選べること」
そのものが楽しさや専門性につながる場合があります。
そのため、
「メニューは少ない方が良い」
と考える必要はありません。
大切なのは、その店にとって多さが魅力になっているのか、それとも選びにくさになっているのかを見極めることです。
7.最後に
カフェのメニューを考える時、
「何品置くか」
だけではなく、
「お客様が選びやすい状態になっているか」
という視点が大切です。
カテゴリーを分ける。
違いを分かりやすくする。
おすすめを示す。
季節商品を入れ替える。
こうした小さな工夫でも、メニューの見え方は変わります。
一度、自店のメニューをお客様の立場から見て、
「初めてこの店に来た人でも、自分に合う商品を選びやすいだろうか?」
と考えてみると、改善のヒントが見つかるかもしれません。

